先に結論
- 構成を作らせるのは向いている。「何を何枚で話すか」の骨組みは速く出ます
- 中身の事実は任せられない。数字・出典・固有名詞は自分で入れます
- 清書は任せてよい。箇条書きを整った版に直す作業は、人がやる価値が低いです
スライド作りを工程に割る
「AIでスライドが作れるか」と聞くと答えが出ません。作業が4つに分かれていて、向き不向きが工程ごとに違うからです。
| 工程 | 任せられるか | 理由 |
|---|---|---|
| 何を伝えるかを決める | 任せない | 聞き手と目的を知っているのは自分だけ |
| 構成を組む(順番と枚数) | 任せてよい | 型が決まっている作業 |
| 各ページの文字を書く | 半分 | 言い回しは任せる。事実は自分で入れる |
| 見た目を整える | 任せてよい | 揃える作業は人がやる価値が低い |
一番効くのは2つ目です。「10分で話す。聞き手は初めて聞く人。結論を先に」と条件を渡すと、順番と枚数の案が出ます。ここで時間が節約できます。
うまくいかない投げ方
1. テーマだけ渡す
「◯◯についてのスライドを作って」だけだと、一般論が並んだ資料が出ます。誰に向けたどれくらいの長さのものか、何を決めてほしいのかを書かないと、直しが増えます。
2. 数字を含む主張を書かせる
「市場規模は◯◯億円」といった数字は、もっともらしい形で間違って出てきます。出典に戻れない数字は資料に載せられません。数字は自分で調べて、AIには入れる場所だけ決めさせるほうが安全です。
3. 完成品を一度で求める
全部を1回で出させると、直したい1か所を直すたびに全体が変わります。構成 → 各ページの文 → 清書、と分けて出させるほうが、結果的に速くなりました。
実際にやってみて詰まったところ
figureやグラフを「作った」ように書かれることがあります。文章の中に「下のグラフのとおり」と書かれていても、グラフは存在しません。テキストで返ってくる以上、図は自分で作ることになります。
もう1つは、1ページに文字を入れすぎることです。指定しないと箇条書きが5行も6行も並びます。「1ページ3行まで」のように上限を先に決めると、話す資料になります。
画像をどうするか
スライドの図版をAIで作る場合、置き場所と商用利用の条件が先に効きます。この話はAIで画像を作る場所を、どこにするかにまとめました。社内資料と社外配布では条件が変わります。
実務的には、写真らしい画像より、図形と文字だけの図のほうが使えます。生成AIは文字が苦手なので、文字は後から入れるほうが確実です。
使える投げ方の型
- 聞き手・時間・目的の3つを最初に書く。「初めて聞く人に10分で、来週やるかどうかを決めてもらう」
- 構成だけを先に出させる。ページタイトルの一覧だけをもらって、順番を自分で直す
- 事実は自分が渡す。数字・日付・固有名詞はこちらから与えて、AIには並べ方を任せる
- 1ページの行数の上限を決める。「1ページ3行、1行30文字まで」
向いていない場面
- 社外へ出せない情報を含む資料。内容をそのまま渡すことになります
- デザインが評価対象になる資料。整える作業までは任せられても、意匠の判断は残ります
- 1〜2ページの短い資料。指示を書く時間のほうが長くなります
まとめ
AIにスライドを任せるときは、「作らせる」ではなく「工程を分けて渡す」ほうが速く終わりました。構成と清書は任せて、伝えたいことと事実は自分で持つ。この線を引かないまま完成品を求めると、出てきたものを全部確かめ直すことになり、自分で書くより時間がかかります。
